第5章 金属と非金属 練習問題
(1)アルカリ金属の融点は、周期表の下方に進むにしたがって低くなる。その理由を述べよ。
原子の融点は分子量と結合力によって決まる。周期表の下方に進むにしたがって、原子の分子量は大きくなるが、同時に最外殻は原子核から遠くなるため有効核電荷は小さくなり、結合力は弱くなる。そうすると融点は低くなる。
(2)塩化ナトリウム(NaCl)などのイオン結晶は、固体状態では電気を流さないが、水溶液や高温の溶融状態では電気を流す。その理由を述べよ。
固体状態のイオン結晶はそれぞれのイオンが動き回れないために電気を流さないが、水溶液中や溶融状態ではNa+やCl+のイオンが動き回れるため電気を流す。
(3)クロムとマンガンがそれぞれ最高6+と7+の価数を持ったイオンになることを、電子配置から説明せよ。
それぞれ4s軌道と3d軌道の価電子をすべて失えばイオンとなるため。
(4)次の化合物の電子間の結合は、金属結合、共有結合、イオン結合のいずれかを答えよ。
(a)青銅(CuとSnの合金)
→金属元素同士の結合ため金属結合である。
(b)塩化ルビジウム(RbCl)の結晶
→Rb+の電子をCl-に供与することで作られるためイオン結合である。
(c)四塩化炭素(CCl4)
→CとClの電子を共有することで閉殻構造を作るため共有結合である。
(d)固体のカルシウムカーバイド(CaC2)
→CとCが共有結合し、Ca2+とC2-がイオン結合している。
(5)[Cu(CN)4]3-ではCu+に4つのCN-が配位しており、[Co(NH3)6]3+ではCo3+に6つのNH3が配位している。この配位の数4と6がどのように決まっているのかを考えよ。
N殻(4s軌道、3d軌道、4p軌道)には計18個の電子を収容可能である。Cu+は10個の電子を持つため、配位子CN-から孤立電子対を4つ(電子を8個)供与されることで閉殻構造を形成する。Co3+は6個の価電子を持つため、配位子NH3から孤立電子対を6つ(電子を12個)供与されることで閉殻構造を形成する。