第3章 原子の構造と周期律 練習問題

(1)金の原子核を大きさ1cmの球で表した金箔の模型を考える。隣の原子核はどれくらい離れた位置にあるかを計算せよ。

 ラザフォードの実験によると、金の原子核の大きさは10^-15m、金箔中の金の原子核の間隔は2×10^-10mである。1cmの球の大きさは、金の原子核の大きさの10^13倍である。この場合、金箔中の金の原子核の間隔は、2×10^-10×10^13=2kmとなる。

 

(2)周期表で水素は左端の列の最上段に書くのがふつうであるが、右から2列目のハロゲンの最上段に書いてもよいという考え方がある。その妥当性を説明せよ。

 通常、水素は一価の陽イオンになりやすいため左端の列の最上段に書くが、電子を1個取り込むと閉殻構造になる点でハロゲン元素と似た性質を持つため。

 

(3)F-とNeの電子配置は同じである。電子を1つ取り除くのに必要なエネルギーはどちらが大きいか。理由を付して答えよ。

 電子を1つ取り除くのに必要なエネルギー、つまり第一イオン化エネルギーが大きいのはNeである。F-とNeの電子配置は同じであるが、Neの方が陽子が1個多いために電子の感じる有効核電荷が大きく、第一イオン化エネルギーが大きい。

 

(4)Mg(マグネシウム)とCl(塩素)は、それぞれ何価のイオンになりやすいかを答えよ。またそのイオンの電子配置を、次のOの電子配置の表記にならって答えよ。

 例.O:(1s)*2 (2s)*2 (2p)*4 

この表記は、1s、2s、2pの各軌道にそれぞれ2個、2個、4個の電子が存在することを意味する。

 Mgは原子番号12の第2族元素であるため、二価の陽イオンになりやすい。

  Mg^2+:(1s)*2 (2s)*2 (2p)*6

 Clは原子番号17の第17族元素であるため、一価の陰イオンになりやすい。

   Cl^-:(1s)*2 (2s)*2 (2p)*6 (3s)*2 (3p)*6

 

(5)周期表の縦に並んだ元素は、価電子の配置が同じになっている。巻頭の周期表と表3-3を参照して、Cs(セシウム)、Ge(ゲルマニウム)、Xe(キセノン)の各価電子の配置を答えよ。

 Csは原子番号55の第6周期第1族元素 Cs:(6s)*1

 Geは原子番号32の第4周期第14族元素 Ge:(4s)*2 (4p)*2

 Xeは原子番号54の第5周期第18族元素 Xe:(5s)*2 (5p)*6